今週から、太鼓やお囃子にまつわる、ちょっとテクニカルなお話をしてみようと思う。
が、たぶん迷走します・・・。


太鼓とかお囃子とか稽古をしてると、「ちょっと速すぎじゃない?」とか「それじゃ遅いって!」とか、テンポの話がよく出てくる。
特に踊り手からすると、囃子がちょうどいいテンポかどうか、というのはのびのび踊れるかどうか、踊りの出来にダイレクトに関わってくるので、重大問題。

でも経験上、この「速いか遅いか」問題を、客観的なテンポだけの問題ととらえてしまうと、解決から遠のいてしまう。
踊り手側が「もっと速くして!」と思ってるのに、囃子側は「ちょうどいい」と思ってて、
それで、「じゃあ中間をとりましょう」になると、どちらも妥協してるので、生き生きした表現にならない。
理想のテンポを♪=90とか決めて、それを正確にやればいいように思えるけど、それも実際にはあんまりうまくいかない。

テンポにまつわる話はいろんな切り口がある。

まず、メトロノーム的な、客観的テンポでの「速い遅い」と、
人間が主観的に「速く感じる、遅く感じる」というのは、
これは別の話。

「暑い寒い」に置き換えて例え話をすると。

「暑いね」」は主観。「気温が高い」は客観。

昨日の気温が30度で、今日が33度なら、今日のほうが「気温が高い」。これは客観。
でも。

昨日が「湿度100%、気温30度」のムシムシだったとする。
今日が「湿度ゼロ、気温33度」とカラッとしてるとする。
今日のほうが「気温は高い」けど、
今日のほうが体感温度は「涼しい」かもしれない。これは主観。

「暑い」は気温のことだと思ってしまうけど、実は湿度も含めた「不快指数の尺度」でもある。

音楽のテンポもそれと同じ。「快適なテンポ感かどうか」が重要なんであって。

「テンポが速くても遅くても、踊りやすい囃子」と、

「テンポが速くても遅くても、踊りにくい囃子」、がある。

ときどき稽古場で速い遅い問題になったとき、
「速くても遅くてもいいから、いいテンポで囃して!」
う~ん、理不尽だなあ。

同じ♪=90でも、「いいテンポ」と「悪いテンポ」がある。
つまりホントは「速い遅い」の話じゃないのに、言葉として「速いよ!」とか「遅すぎだよ!」とか言ってしまうのだ。

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「速いか遅いか」トーク、まだまだ続きます。
 「速いか遅いか」トーク② 人による感じ方の違い
7月1日(水)13時アップ予定です!